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2023年11月30日
革新的セパレータ技術である3DOMセパレータ「X-SEPA™」を搭載したリチウムイオン二次電池および次世代リチウム金属二次電池に関する研究データを発表

 

株式会社スリーダムアライアンス(以下、「3DOM」)およびnoco-tech Inc.(以下「noco-tech」)は、11月28日~30日で開催中の第64回電池討論会において、3DOMが開発した革新的セパレータ技術「X-SEPA™」を搭載したリチウムイオン二次電池および次世代リチウム金属二次電池の電池特性に関する2つの研究データを発表しました。

 

発表① 3DOMセパレータを用いたイオン液体電解質系Li金属二次電池の特性

【結果概要】
本研究は、3DOMセパレータを用いることで高Li塩濃度のイオン液体系電解液をLi金属二次電池へ導入し、Li析出溶解挙動や充放電サイクル特性などの電池特性を調査しました。図1に、「X-SEPA™」を用いたリチウム金属二次電池の充放電サイクル特性を示します。500サイクル後でも容量維持率が80%以上を示しており、充放電可逆性に優れた寿命性能を示しました。

さらに、従来の可燃性有機溶媒系電解液に比べ、難揮発性・難燃性であるイオン液体系電解液を用いることで、電池の更なる信頼性改善が期待されます。

 

発表② 3DOMセパレータを使用した長寿命リチウムイオン二次電池の開発

【結果概要】
リチウムイオン二次電池は、高温下では電池の寿命が大幅に短くなるという問題が生じています。当社では高沸点で高温環境に強い耐高温電解液を用いることで60℃条件下での長寿命化に取り組んできました。この電池の特長は、一般的なポリオレフィンセパレータではしみ込まない粘度の高い耐高温電解液をしみ込み性能が高い「X-SEPA™」と組合わせたことです。

現在実施中の60℃での充放電サイクル試験では、汎用の電解液とセパレータを採用した電池に対し、「X-SEPA™」と耐高温電解液を採用した電池は、約3,000サイクル到達時点で容量保持率が大幅に向上していることを確認しました。

 

 

また、「X-SEPA™」は、基材としてポリイミドを使用していることから約400℃の耐熱性を持っています。この「X-SEPA™」と耐高温電解液を組合わせた電池は、ポリオレフィンセパレータでは収縮による内部短絡が生じる150℃ 1時間の耐久試験において、セパレータ機能を維持して内部短絡することなく、また耐高温電解液の効果により電池の膨れ等も起こさずに充電・放電性能を維持しました。

 

 

 

一方で0℃環境下でも高い充電性能を持ち、室温と同じ充電条件を維持しながらサイクル特性を維持できることも確認しました。これらの結果から、高温環境だけではなく、低温環境まで幅広い温度領域で利用できるリチウムイオン二次電池が実現できる可能性を示しました。

通常のセパレータは、素材としてポリプロピレンやポリエチレンを使用しており耐熱温度は120℃程度です。一方3DOMが開発したセパレータ技術「X-SEPA™」はポリイミドを使用しており、450℃レベルの高い耐熱性を有するとともに高温仕様の電解液との親和性にも優れています。当社研究データでは、「X-SEPA™」と独自の耐高温仕様の電解液を組み合わせたリチウムイオン電池は、60℃の高温環境下で従来のものより寿命を5倍以上伸ばすことが可能となり、今後更なる寿命の伸長も予想されています。これにより、高温環境下でのバッテリ劣化の問題を抱えてきたインドや東南アジアを始めとする地域において大規模な需要が期待されます。また、バッテリパックを設計する際に高価な冷却システムとスペースの必要性を低減することが見込めるので、EVのバッテリパッケージコストの大幅な削減も期待できます。

「X-SEPA™」は8年以上にわたる研究開発を積み上げて来た製造プロセス技術及び製造装置によって高品質かつ低コストでの提供が既に可能となっており、全世界のリチウムイオン電池メーカーへ向けてサンプル供給出荷を2023年2月より開始しています。そして電池メーカーにとっては従来と全く変わらない調達原料、電池製造設備を活用出来ることも大きな特徴の一つであり、新たな設備投資をほとんど必要とすることなくかつ従来とは全く次元の異なる新たな高性能リチウムイオン電池を製造することが可能となります。また、X-SEPA™は、自動車分野にとどまらず、データセンター、エアモビリティ、船舶などの海洋アプリケーションなど多様な産業ニーズに対応しており、幅広い分野での持続可能なエネルギーソリューションとして期待されています。

 

問い合わせ先:
株式会社スリーダムアライアンス
グローバル広報
電話:03-5544-8275(代)
E-mail:pr@3dom.co.jp

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